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北海道は道東の隅っこ。そこの牧場のお話。 母ちゃんと子どもらの物語。
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ここのところ氷点下の気温が続く。
12月でこの気温かい...(--;)

とにかく水が冷たくなって。
家事はきつい...

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かねさん、素子さん 夫婦

かねさん・素子さん...夫婦がここに来てから今まで飲みの会でもお酒は口にしなかった。

見かねたさきじいちゃん(さきの父親で一恵・みどりの祖父)が口を開いた。

「お前ら、もういいだろう、遠慮するな飮め、嫌いじゃないんだから...」

と、おっきいばあちゃんも

「精神的に持たないぞっ....」

すると彩子が....「遠慮してたらなっ、ここじゃ、食えないんだぞっ」

すかさず一恵が「なくなっちゃうさ、お供物だって無くなるんだよ。だれか食べちゃうさ」(それ私のことかい)

言い方も、意味も違うが....子どもらすら心配してる気持ちだけは伝わったようだ。

別にさ、お酒でどうこうしたと言うわけでもないのに....ただ、そういう縦の世界に居た....と言うことだけで。

かねさん、横に座るのりさん(私の夫で彩子と則子の父)に、背中たたかれ....

「ほれっ」と勧められると....もじもじしながらコップを手にした。

冷や酒を一気に飲み込む。

それを見ていた素子さん。

私が勧めると....ニコッとしてコップを手にした。

たったこれだけのことなのに....場が和む。

その...向かい合うように座り前に肴が....そこを突然...すっぽんぽんのみどりが危ない足どりで走り抜ける。

うーん、お風呂から脱走して来たか。(^o^;)

彩子が取り押さえると....みどりの手を引いてお風呂へ。

一緒に入っていたしんばあちゃん(しんちゃんの母でみどりの祖母)が笑いながらみどりを取り押さえ頭を洗い出す。

あぁ~、それが嫌で脱走してきたのか。(笑)

うーん、だんだんと、ここの人になってきた。

そう私が流し(台所)で秋刀魚を焼きながら漏らすと....横に居たさきがニコッとする。

うーん、それでいいんだよね。

しかしさ、飲みの会で、突然、秋刀魚が食いたいなんて.....父ちゃん、いい加減にしろよなっ。

則子、私の後ろに来て....「母ちゃん、お酒、とっとくね」

「おっ、よろしく....」と思わず返事をしてしまった。(^^;)

私...やっぱし天然だぁ~。(-o-;)

かねさん夫婦....最近の日韓の関係に心を痛めているようだ。

彩子が「韓国じゃなくて北朝鮮でしょう?」

と言えば....素子さん「そうだったね」と合わせ...笑みを浮かべる。

あの女の大統領...かなり問題がありそうだ。

★★★





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素子さんのこれまでの人生


「語っていいの?その過去を」の編・そのⅠ


ポツリポツリと聞いていた素子さんの過去。

私にはまるで想像ができない別世界のようだ。

そんな素子さん、ある程度話し....現在に至ると....
「これからは生まれ変わった人生」と力頭よく語ってベンチから立ち上がった。

それがアイス舐め舐めの日のことだった。


うーん、私も.....ある時期、生まれ変わったと思ったけど....それとは大違いだ。

教師から牛飼い....これだって、大転換だったのに。しかも、たくましすぎるガキが二人も産まれて。(^^ゞ

お母さんと呼ばれる夢もむなしく.....「母ちゃん」だよ。(・・;)


----------------------------


素子さん、生まれは....大阪。

両親とも、言い方は悪いけど.....在日朝鮮人。


育ったのは、ほとんどが東京。

生活のレベルは?
レベルなんて言えないレベルの最低だったとか。

同じような環境の人が集まり団結が深まる。それが朝鮮人。

と、素子さんは強調する。

そこで、小学生・中学生と共に同級生として過ごしたのが金沢さん(ここでは仮名)で略して愛称は「かなさん」子どもらがつけた。(笑)


小学生のころ、いじめられてはピーピー泣いていたかなさん....それを助けて用心棒をしたのが素子さん。

中学生になると、素子さんがいじめられて喧嘩をすれば....体格共に男になったかなさんが助けに入る。

なんて話しながら、素子さん、そんな昔を懐かしがる。

暑い日、一個のアイスを二人で舐め舐め....だからと言ってラブラブだとは思っていなかった。

助け合う生活....だと、思っていたとか。


そんな二人、小中学校は普通の都内の学校。朝鮮学校には行かなかった。

二人の両親....二人に

「お前らは日本で言うまれ日本で育つなら日本人になれ」

と言っていたそうだ。

でも、現実は厳しかったとふり返る。

なんとなく想像はできるけど....私には、その実態を知る術は無かった。


中学を卒業間近のとき、かなさんの父親が仕事中に事故で亡くなった。

素子さん、コブシを握りしめながら語る。

朝鮮人と言うだけで、なんの保証も無かった。.....( ̄□ ̄;)!!


それでも、かなさんと素子さんは中学を卒業した。

素子さんは、まがりなりにも高校へ.....

でも、かなさん、卒業の日を最後に姿を消した。


そして半年後、かなさんの母親が亡くなった。

でも、かなさんに知らせることすら出来なかった。と、悔しがる。


素子さん....なんとか高校を卒業できた。

でも、その日を最も喜んでくれる両親は居なかった。

父が亡くなり....あとを追うように高三になった素子さんを残し母も亡くなった。

周囲が助けてくれた。

バイトをして頑張る素子さん....そんな素子さんを隣近所が食べさせてくれた。

素子さん、ここらは日本人と違うと誇らしげに胸を張る。

うん、確かに....このところの日本人って助け合う事を忘れて、足を引っ張り合うもんね。

そう考えると...ここの子ら、誇らしく思えるよ。o(^o^)o!


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高校を卒業した素子さん、都内の某外食産業のチェーン店で働いた。

しかし、長くは続かなかった。


つづく



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