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北海道は道東の隅っこ。そこの牧場のお話。 母ちゃんと子どもらの物語。
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そんなところに、一人の老人が現れた。
農家の顔役.....
じいちゃんに嫁を世話する話しだった。
両親が同意すれば話はまとまる時代なら本人は蚊帳の外。(笑)
決まっちゃった。
嫁さんは....士別の農家の娘さん.....

そっ、それがおっきいばあちゃんだった。d(-_^)


士別の日本海側の山の中....大きな山はないものの、樹木が生い茂る丘のような大地が広がっていた。
もちろん、海までは行かないよ。
おっきいばあちゃんが思い出すように言うには....
海にも町にも簡単に行ける距離じゃなかった。
生まれ育ったところはね....その口調は実に楽しそうなものだった。

今思えばね....開墾(開拓)も一息ついたころのような状態だったよ。
貧しいとか貧困だとか、毎日の生活が苦しかったとか、思う事もなかった....。
いや、そう思ったのかね.....。貧しいことは貧しかったな。
聞き入る一恵の顔を見ながら....「ポテチなんてなかったんだぞっ」と語る。
そう言う時代だったんだよ。

孫のさき....どこか信じられない様子だけど....
北海道の開拓について話しに聞く.....急激に開けたところと、開拓が延々と続く地域とで大きな格差が広がった。とね。
札幌や旭川は人々が集まり都市部として伸びたが、周辺は....農村どころか、未だに人の足も入らないところがあったと。
因みに旭川が急激とも言える伸びをみせたのには、当時の陸軍の影響があった。
第七師団が駐屯し軍部だけではなく町の発展にも寄与した。
その歴史は、旭川の北鎮館(資料館)に見る事ができる。軍都旭川と呼ばれる由縁だ。


話を戻して.....
縁談の話はとんとんと決まってしまった。
嫁入り....今とは違いすぎるほど違う。
仲人と言うか世話人が連れて婿の待つ町へ向かう。
たった二人でだよ。
不安なんてもんじゃなかったそうだ。
だいたい、そのラーメンが凍る町がどこにあるのか?婿さんの顔も、まきばのあるところも....知らなかったから。

汽車に乗り、荷馬車に乗り......歩いて歩いて.....
やっと着いた周囲が樹木の山の中。
おっきいばあちゃん....生まれ育った士別の家の周辺と対して違いはなかった。と、ポツリ。
生まれ育った家より大きい家が一軒、その横に平屋の牛舎があった。
目を閉じ....瞼に記憶を映し出しているのか....でも語る言葉には、一言一言に重みがあった。
みとり....そんな目を閉じたおっきいばあちゃんの頬をタオルでぬぐう。
いつしか涙がこぼれていた。

初めて会う婿の亡くなったじいちゃん.....初めて会うその両親、そして、弟の厚岸のじいちゃん。
暗くなる前に....と、農家の顔役(世話人)は帰って行った。
今でいえは....その方は、農協の理事長でしょうかね。(笑)

その夜....おっきいばあちゃんを含めて5人の食事。
ささやかだったけど、精一杯のご馳走が並んでいた。と、振り返る。

こうして新婚生活が始まった。
せめて婚礼の式だけでも....と、言う亡くなったじいちゃんの父親。
でもね、そんな余裕なんてなかったし贅沢はできなかった。そんな時代とそんな土地だったんだね。
最後にそう言葉を残すと、おっきいばあちゃんは立ち上がり寝床に向かった。

今日の千夜一夜の物語はここまで....と、口にしたさき.....さきじいちゃん(さきの父)に怒られていた。「ちゃかすなっ」
子供らがバタバタと足音を残し寝床へ行けば....熱燗は冷えていたから....私ともっちゃんでワインを開けた。

つづく

★★★

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無題
おっきいばあちゃん 北海道の歴史の生き字引ですね!
okko 2015/04/14(Tue)22:20:53 [Edit]
okkoさんへ
おっきいばあちゃんにokkoさんのコメント見せたら.....
「北海道の歴史の生き字引」なんて、嬉しいけど、見てきたものはほんの一部の地域だけ。ほんとに見えてたものは何だったのだろうね。
みんながこうして集まって来てからだよ。ドイツにも行かせてもらったし。だと。
そして、okkoさんに「ありがとう」と伝えてくれと言ってました。
静ちゃん 2015/04/15(Wed)10:50:54 [Edit]

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